四葉のクローバー

※ナレーション:勇者フィル

アリアハンから旅立って数週間、草原を通り抜けるたびに、
昔の思い出が 頭によみがえってくる。

あの時のこと、ワンダは覚えているのかな・・・

〜10歳の夏〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

ワンダ:「フィル〜♪ 剣術の訓練お疲れさま〜♪」
いつも通りに、大きな箱を抱えた小柄な幼馴染がこっちに向かって走ってきた。
フィル:「あ、ワンダ今日も来てくれたんだね(にっこり)」
ワンダ:「うん(にっこり)一緒にお昼にしよう♪」
フィル:「そうだね。でもその前に、(また)箱抱えたまま転ばないでね?」
ワンダ:「もぅ〜!!だ――い――じょ――う――ぶ だってば!」
つい最近3日連続でコケたのにも懲りず、今日もダッシュで弁当箱を持ってきてくれる。

まぁ、その3日目の時は、訓練の成果か、倒れる前にワンダと弁当箱をキャッチできて無事だったのだが。

な〜んて心配は、今日は無用だった(安心)

しっかり僕のそばまで駆け寄り、弁当と一緒に持参したシートの上に
(サリィさんと共同で)手作りしてくれた弁当を並べてくれた。

朝早い時間から訓練をしてたせいか、それともワンダたちの料理の腕が上がったからか(たぶん両方だと思うけど)
どう見ても大人2人分以上の量だったけど、それでもしっかり完食した。
フィル:「すごいな〜、また料理の腕を上げたね。」
ワンダ:「え・・・そ、そうかな?(←照れ?)ありがと、フィル♪」

その後、今日はとても天気が良いので、少し二人で散歩をすることにした。

しばらく歩いた後、真っ白な小さい花がたくさん咲いているところを見つけた。

確か、『しろつめくさ』って名前だったな・・・この花は。

花の形が特徴的でよく見かけるから、意外と早く覚えた。

ふとワンダを見ると、何かを探しているように見える。
フィル:「なに探してるの?」
ワンダ:「何って・・・この草のとこにある『クローバー』の中に、四つ葉のがあるか探してるの。」
フィル:「四つ葉の・・・・?見つけたら何かあるの?」
ワンダ:「え、知らないの?四葉のクローバーって、持ってると幸福が来るとか、願いが叶うとか言われてるんだよ?」
フィル:「え?そうなんだ・・・初めて聞いたな〜。」
ワンダ:「そうなの。でも、さすがに滅多にない物だから、探すの大変なの。」
そりゃそうだろうな〜。三葉のしかないように見えるし。

自然に四葉になっているクローバーって、そうそうあるもんじゃないと思うな〜

たぶん、この広い草原の中に1つあるかどうか位に。

とか何とか考えていたら、突然
ワンダ:「そうだ!フィル!四葉探し競争しよう♪んじゃ、よ〜いドン☆」
・・・しょうがない子だな〜ワンダは

こういう時に何もしないで居たり別なことしてると怒るしな〜(汗)

ま、探すフリでもして終わるのを待つか。

(30秒後)

・・・・ん?

あれ?これって、1・・・2・・・3・・・・
フィル:「あった!」
ワンダ:「え・・・(驚き)」
ワンダの驚いた顔も当然だろう。

あれだけ長い時間真剣に探して見つからなかったのに、あっさり僕が見つけたんだから。

少しワンダの顔が残念そうだな・・・そうだ!(←何か思いついた)
フィル:「ワンダ・・・はい、これ。」
ワンダ:「・・・・・え?この四葉、くれるの?」
フィル:「うん、そうだけど?」
ワンダ:「え、いいの?本当に。」
フィル:「うん、もらってよ。」
まだ驚きと遠慮がワンダの顔に出ていた。

別にもらっても・・・いや、むしろもらって欲しいんだけどな〜。

だって・・・
フィル:「だって、今の僕の一番の願いごとは、『ワンダが笑顔でいてくれること』だもん。
だから、むしろワンダが持っててくれたほうが良いと思ってさ。ね?」
しばらく不思議そうな顔をしていたが、すぐに、
ワンダ:「ありがとうフィル♪ 大事にするね。」

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

その時の笑顔は、なぜかとても輝いていて、初めてドキッとした。

たぶん、この時から僕は、ワンダのことを・・・・・

ワンダは、あの時のことを覚えているのかな・・・?

野宿用のテントの中に戻ると、ワンダが魔法書を読んでいた。

話しかけると、すぐ反応してくれたが、そのすぐ直後・・・・

あ・・・!

魔法書にはさんでいた「しおり」が落ちた。ワンダも気付いたらしく、すぐ拾おうとした・・・

あれ?この張り付いている緑色のは・・・・それに、すみに書いてある日付は・・・
フィル:「あれ・・?これって・・・僕らが10歳の時の夏の・・・?」
ワンダ:「え、覚えててくれてたんだ!あの時フィルがくれた四葉♪」
よかった・・・・ワンダも覚えててくれたんだね。

しかも、今でも大事に持っててくれてたんだ・・・・

欲張りかもしれないけど、あの時の僕の願い、
明日も、あさっても、その先もずっと叶い続けますように。

作者:BLACKさん